-

久々に、一知半解で的外れなことを言っている人に淡々と指摘するコーナー。淡々と?


今回の一知半解の方はこちら。

相変わらず講義のことを考えていて、久しぶりに講義録を手伝ってくれたT氏と少し早い忘年会のついでに、誘われてゲームセンターに行った。編集者T氏は本を仕上げた合間の代休の日に、クイズマジックアカデミー4というクイズゲームにはまって、なんでも大賢者四級というやつになったという。それはもう全国リーグ級でオンラインで競合する全国のつわものたちがあまりにレベルが高いので、小生にちょっとチャレンジして見てくれとのこと。バカ田大学雑学部首席卒業漫談会主宰のわたくしにそれをさせますか。


三十分ほどやってみて、なんとか大賢者を二級にしましたが、これはもう、クイズ挑戦時点での知識量を問うものでもなんでもなくって、完全に「クイズに何度も挑戦して出題された過去問の正解の暗記量」を問うものになっている。だって、「後醍醐天皇征西大将軍に任じたのは懐良親王ですが(まずここで問題文の表示がちょっと滞って引っ掛けになっている)、征夷大将軍に任じたのはABC三人の親王のうち成良親王である」なんて、予備知識として準備しておけるのはその分野の専門家だけじゃない。「よほどのクイズマニア」というものでもないですよ。本当にそのクイズゲームにお金を払い込んで、問題文と解答のセットを丸ごと記憶して、素早く想起するしかない。ゲーム機のメーカーは実は知識を問うクイズでないものを、暗記のトレーニングでしかないものを(だってこの形式なら記憶の内容は乱数表覚えるのと変わらんもの)、クイズと錯覚させて売り上げを伸ばしているわけでね。賢い商品企画だとは思います。

はてな

この分析は、ある一面では当たっている側面もあるのですが、不十分すぎるというか、ごく一部の側面しか見えていない分析ですね。まあ、他人のIDで数ゲームプレイしただけだから仕方ないとは思いますが。


クイズマジックアカデミー4のシステムについて説明をします。まず、このゲームでは、e-AMUSEMENT PASSというコナミICカードを使用して、プレイヤー登録を行います。カードなしでもプレイ可能ですが、その場合は「体験入学生」扱いとなり、一番下の組でしか遊ぶことができません。また、とても簡単な問題しか出てきません。


登録したプレイヤーは、「修練生」という階級から最大16人による全国オンライン対戦をプレイすることになります。階級は「魔法石」と呼ばれるものを集めることで上がり、「魔法石」は毎回の対戦で勝った相手の数と階級に応じて与えられます。大雑把に言ってしまえば、ずっとプレイしていれば必ず上がるものなので、階級の高さはプレイ量を反映していても必ずしも実力を反映しているものではありません。


プレイヤーが最初にプレイするのは「ピクシー組」という組で、優勝もしくは過去5戦の平均順位が3位以上(小数点切り捨て)になると、上の組に上がります。また、過去5戦の平均順位が11位以下(同切り捨て)になると降格します。下の方の組では問題の形式が少なく、また、難度も低くなっていますが、組が上がるにつれて問題の形式、難度ともに上がります。当然ながら組が上がると相手も強くなるので、実質的に実力を反映するのは自分の所属している組になります。


また、問題は6つのジャンルと11の形式に分かれていて、全ての問題に5段階の難度が設定されています。問題数は総数で10万問以上で、ほぼ毎週にわたり200問程度の新問が追加配信されています。


さて、このゲームのプレイヤーの層についてはざっと見たところ大雑把に次の三層に分かれています。まずはライト層。特別クイズが得意でもないし、やり込んだりはしないけれど、とっつきの良さから遊んでいる層です。次に中間層。ゲーム好き、あるいはクイズ好きでわりと継続して遊んでいるが、問題の暗記などはしていない、していても自然と覚えた部分くらいという層。そしてマニア層。クイズマニアもしくはかなりのやり込み好きだったり負けず嫌いだったりする層。問題の回収はほとんどの人がやっています。そして、これらの層は組み分けのおかげでかなりきっちり棲み分けしてそれぞれが楽しく遊べているわけです。下の方の組の人は


で、この三層の人数や落とす金額量についてはロケーションによっても大きく違うし、全体的にはどの程度なのかはちょっとわかりませんが、人数的にはライトやミドルの方が多いんじゃないかと思います。金額的にはどうだろうな。そもそも一ゲーム単体だけで考えるものでもないから何とも。けどまあプレイしている限りでは一番上の組でも問題回収せずに素の知識で戦っているプレイヤーの方が数的には明らかに多いので、マニア層はそれほど多くないという気がするけれど。ま、この辺は林田さんあたりの方が俺ごときよりよっぽど正確なところが見えているだろうし、あまりうかつなことは言えないんだけど、少なくとも「ゲーム機のメーカーは実は知識を問うクイズでないものを、暗記のトレーニングでしかないものを(だってこの形式なら記憶の内容は乱数表覚えるのと変わらんもの)、クイズと錯覚させて売り上げを伸ばしているわけでね」なんていうのは全体的に見たら的外れだということはここまでの説明で十分かなとは思います。


ところで、fuku33さんはこの記事のタイトルを「穴埋メダケガ学習カ」としていて、論理的云々、体系的理解云々と言っているのですが、たかだか30分間、それも一からではなく他人のIDで遊んだだけの人がよくもまあ「暗記のトレーニングでしかない」とか断定しているのには正直辟易しました。確かに丸暗記だけして体系的に把握をできていない知識なんてものは薄っぺらなものでしかないですね。しかし、自分では論理的なつもりでいても、そもそもの知識が欠落していて一つ知っただけで短絡的な結論をすぐに出してしまうのも同様にろくなもんじゃないと思いますよ。ブロガーにはなぜかそういう人多いなー。ふしぎ。


まー、あんまり嫌味が過ぎるのもよくないのでこの辺で。

追記

林田さんのところにリンクを張ったらさっそく言及いただけていた。


マジアカついカッとなって日本史の参考書を買いに行った工業高校卒元ヤンの俺が来ましたよ。
http://blog.livedoor.jp/hayashida2007/archives/426102.html
林田さんの書いている内容にはうなずくことしきり。やっぱりライト〜ミドルユーザーが多いんですなー。「「クイズゲームの面白さ」というのは「知っている問題に答えられるか」と「知らない問題を学習できるか」のバランスに左右される」というのは言われてみて納得。