カーリングおもしろい

なんかメダルがとことん取れなくて違う方向で盛り上がってるらしいトリノオリンピックなんだけど、そんなこととは関係なしにカーリングがおもしろい。他の競技が見た目でわりとわかりやすい感じなのに対して、カーリングは地味。そして今ひとつわかりにくい。だが、それがいい


とりあえず解説を聞いているうちにルールは何となくわかって、見ていて「これはナイスショットですよ」とか言ってるのを聞くと何となく「ああ、これはナイスショットなんだろうなあ」というのはわかるんだけど、今ひとつ実感がつかめない。そして、技術的にどうすごいのかわからない。それが逆におもしろい。「なんだかよくわからないけどすごいらしい!」というときめき。


今日の日本対イギリス戦を見ていても、ひとつひとつのプレイの意図を解説者が説明するのを聞いていて、とりあえずの意図は理解できるものの、あくまでその場その場のレベルでしかわからないから、その先にどういう展開を考えているのか、他の選択肢だと最終的にどうなるのかとかがわからなくて、そしてそのわからなさが気持ちいい。彼女たちがどれだけ上手いのかもよくわからないけど、でもたぶんこれ世界のトップレベルなんだよなあ、オリンピックだし、イギリスは前回優勝らしいし、みたいなのも楽しい。


さらに、ときおり出てくる専門用語。これがまたいい。これがわからないすごさに拍車をかけてくれる。何しろわからない用語だっただけに忘れてしまったけれど、「さっきのなんとかかんとかではなく、今度はなんたらかんたらを狙っていますね」なんてところはかなり面白かった。


今日の試合のラストのイギリスのプレイについて「これはごらんになっている皆さんにはただのミスに見えるかもしれませんが、そうではなく、仕方ない、ほんのわずか1cm届かなかっただけなんです」みたいな熱い解説があったところなんかはほんとよかった。わからないんだけど、どうやらとても惜しいギリギリのプレイだったのかというその感じが。


まあ、こういう楽しみ方は、カーリング詳しい人からしたら「いや、わからないじゃなくて、わかろうとしてみてよ、そんな難しくないからさ」ってところなのかもしれないけれど、こういうわからないを楽しむってのは久しぶりだったんで、心ゆくまで堪能してしまった。囲碁なんかもわからない人からするとこんな感覚なのかな。「上辺から押さえて地合いをよくしようとしたが、ハネたところを左からノゾかれてさらに右のキリが絶妙な一手でこれで三子がポン抜かれてオワ」とかたぶん知らない人が読んだら意味がさっぱりわからないけど楽しいに違いない。あ、あと将棋の「ゴキゲン中飛車」とかもかなりときめきを感じるね。将棋知らないけどその単語を聞くたびにちょっと幸せな気持ちになる。わからないを楽しむ、いいよ。