メタの悲劇

20XX年、全ての笑いはメタ視点によってカテゴライズされてしまったため、もはやお笑いとはかつてのそれとは違った一種の競技―たとえば体操のような―として受容されてしまっていた。
 
実況:さあ着地は三村式ツッコミ。決まるかどうか。
ボケ「…赤いんだよ」
ツッコミ「赤いのかよっ!」
観衆「ワーワー」
実況:決めました!解説の田中さん、いかがですか?
田中:そうですね、これはかなりの高得点が期待できるんじゃないですか。
実況:…点数出ました。9.750!これは高得点です!

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ボケ「つまり……俺がゴルゴじゃい!」
ツッコミ「死ねばいいのに
観衆「ワーワー」
実況:浜田式死ねばいいのにも成功しました!残るはラスト。
田中:ここを決めれば10点満点も狙えるかもしれません。
ボケ「お前ゴルゴなめたらあかんて。そりゃあかんよ。もうほんまあかん」
ツッコミ「あかん言うてもどないせいと」
ボケ「あかん言うたらあかんのじゃああああああ!!!!おりゃあああああああ!!!!!!」
観衆「ワーワーワー」
実況:これは…四万十川式逆ギレの変形でしょうか?
ボケ「うっさいわお前ら実況とかしてんじゃねえええええええ!!!!!!!!」
田中:こっちに来ましたよ。これは新技かもしれません。
ボケ「解説してんじゃねえええええええ!!!!うりゃあああああああ!!!!!!!」
実況:これはすご、うわ、ちょ、いた、いたい、や、やめ……
田中:逃げろー。
観衆「ギャーーーーーー」

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一方その頃吉本新喜劇では
「ごめんくさい」
観衆「ガハハハ」