そのルールでは脱落者が増えるばかりでしょう

ゲームセンターに明日はあるの? - チェスプレイヤー、ボビー・フィッシャーに学ぶ。
http://d.hatena.ne.jp/Hayashida/20050829/1125334625
に異論があるので反応と提案。

ヴィデオゲームにおいても、特に1対1で争われる対戦格闘ゲームについては、キャラクターの組み合わせが決まった時点で、その勝敗がほとんど決まってしまうという局面に頻繁に遭遇する。同ジャンルにおいて将来「プロプレイヤー」を育てようとしたとしても、この問題は大きなハンディとなるだろう。つまりは、「プレイヤーの技量が優れている」のか、「プレイヤーが選択したキャラクターが優れている」のか、観客の目からは不明瞭だからだ。
こうした「観客の視線」を納得させてはじめて、「プロプレイヤー」に対する付加価値が生まれるのではないか。「タイガー・ウッズが強いのはゴルフクラブのおかげです」では、誰からもリスペクトされることはなかっただろうというのと同じ事である。

とありますが、現実にそれほど大きな問題だとは思えません。なぜなら、選択したキャラクターが優れていたところで、同じキャラクターを使用する他のプレイヤーと比較すれば、技量の違いは多くの場合一目瞭然だからです。「タイガーウッズが強いのはゴルフクラブのおかげ」とほざく人がいるなら「じゃあ何で他の選手は同じクラブ使わないの?お前もそのクラブ使って優勝してくれば?」と言えばいいだけのことでしょう。
それに、実際のプロスポーツでも体躯差や資金力差から生じる不公平はありますが、そのスポーツ自体に魅力があればそうした不公平は大した問題とならない*1のが現実ではないでしょうか。むしろ、不公平さを感じる強さを持った選手やチームがヒールとして扱われて、盛り上がりに一役買っている側面すらあるのではないかと思います。

同一トーナメントによる同一キャラクターの使用禁止ルール

このルールは非常にシンプルである。

前準備として参加プレイヤーに全キャラクターが記されたシート(モノクロコピー)を渡す。
参加プレイヤーは対戦開始前に、使用するキャラクターに印をつける。
着座席(1P側、2P側)をじゃんけんで決めた後、互いのプレイヤーのキャラシートを交換する。
プレイヤーは、相手に宣告したキャラクターを使用して対戦する。
勝ち上がったプレイヤーは、一度印を付けたキャラクターを2度と使用できない。
こうしたルールを活用すれば、やもすればマンネリに陥ってしまう店舗イベントを、プレイヤーのモチベーションを維持したまま継続できるのではないか。また、プレイヤー個々人の「得意キャラ」をアピールすることによって、プレイヤーの駆け引きといったメタ・ゲーム性を演出することも可能であろう。

そして、プレイヤー自身にとっても、同一キャラばかりで日々プレイするのではなく、サブキャラ、サードキャラを育てるという明確な目標が設定されてることを歓迎するのではないだろうか。

このルールは正直言って、マジ勘弁って感じです。もし大会くらいしかモチベーション維持の要素がなくなっていたとして、このような大会しか存在しないようであったら、俺は即引退します。俺のようなセンスに劣る努力型プレイヤーにはこのルールはついていけませんから。
アーケード対戦ゲームの上達の要素でものを言うのはセンス、知識、情熱*2の3つだと俺は考えていますが、このうちの知識についてはインターネットの普及によって以前よりも格差がなくなりつつあります。そうなるとセンスと情熱がものを言うわけですが、センスに劣るプレイヤーは必死こいて何か一つ自分の武器を磨いてそれで何とか喰らいつくのが精一杯です。それに対してセンスに優れたプレイヤーというのは、どのキャラを使ってもすぐにある程度の強さまでたどり着きます。しかも上に行けば上に行くほど、どのプレイヤーも情熱で差がなくなりますから、これではセンスの違いが大きく影響するようになって格差が開くばかりで、本当にごくごく少数のトッププレイヤー以外は脱落して、ただでさえ多いとは言えないプレイヤー人口がさらに減ることになるでしょう。

ただ、このような絶対的に強い存在を決める大会そのものに反対というわけではありません。上で「このような大会しか存在しないようであったら」と書いたように、他にも様々なレギュレーションの大会を作ることで複数の尺度を生み出して、「この大会だったら俺でもチャンスがあるかもしれない」という形でモチベーションをかきたてるほうがいいのではないかということです。
例えば三国志大戦で行われている「玉璽の欠片」を期間内に争奪する大会は、レギュレーションの縛りと、通常の全国対戦とは違った一発逆転の狙えるシステム*3のおかげで、なかなかのモチベーション刺激策として機能しています。実際来週から行われる漢中王争奪蜀限定戦にもかなりの期待が集まっています。セガの広報が今ひとつ足りないせいで「どうせ金いっぱいある上位が勝つんだろ」と誤解しているプレイヤーもいるのが残念なところですが…。

絶対王者を決める戦いもギャラリー的には魅力かもしれませんが、絶対王者には縁のないより多くのプレイヤーのモチベーションを刺激することのほうが重要じゃないか、どの対戦ゲームでも微妙な戦績しか残せないB級プレイヤーとしては強く思います。

*1:著しい差については階級制やウェーバー制などの措置によって多少緩和されていますが

*2:廃人度と言い換えてもいい

*3:欠片の所有数に比例して負けたとき失う量が多くなるので上位を倒せば一気に欠片が増える、群雄戦が発生すると欠片の移動量がさらに倍、勝った相手を一定確率で配下に収めてみかじめを取れる等の要素が実力に劣るプレイヤーにもチャンスを与えている