タカノvsおまみ

某所で腐れ縁の男からタカノvsおまみについて書けと言われて二つ返事で引き受けたはいいが、あいにくにして俺はおまみのことは知らない。タカノのことなら多少は知っている。仕事でのちょっとした知り合いだ。

タカノは全体的に小作りな美人で銀縁のメガネが似合う30前後の女だ。正確な年齢は知らないので、30前後というのは俺の推測でしかないが、飲み会の席になると嬉々として聖闘士聖矢について語る女なんてのはどうせ30前後に違いない。聞いた話によると普段はメガネをかけていないらしいが、俺の知っているタカノはいつもメガネをかけているので、その下の素顔のことは知らない。

ややもすると繊細そうにも見えるが、なかなかどうして口を開けばその舌から火を吹かんばかりの勢いで毒舌トークが繰り広げられる。元々が理知的なものだからその毒舌もまた頭の悪い女のしょうもない悪口などとは違い、聞く者をときにうなずかせ、ときに笑わせ、ときにおののかせと、まさに話芸と言っていい代物だった。

そんなタカノだが、仕事においては責任感が強く真面目で、立場の上下に関わらず誰とでも公平に接し、やるべきことをきちんとやれる人材として上司の覚えもめでたい。しかし人によってはそれが逆に疎ましく映るようで、最近は同性の同僚との軋轢に悩んでいるとも聞いた。


もしかしたらその同僚こそがおまみなのかもしれない。


以下は全て、俺がタカノから聞いた話だから全てが真実とも限らないし、少なからぬ偏見も含まれているだろう。あくまでも俺が聞いた話だ。

タカノによると、おまみはタカノよりも年下ではあるが仕事の上では先輩にあたる女性らしい。初めのうちは不慣れなタカノのことをよくフォローしてくれるいい先輩だったそうだが、時間がたつうちに要領をつかんだタカノがメキメキと頭角を現して周囲の評判もよくなるに従い、おまみのタカノに対する態度が冷淡なものになっていったという。女同士のこうした軋轢というのはよく聞く話であるし、それだけにとどまるならまあ何ということもないのだろうが、ことはこれだけにおさまらなかったというのだが、お昼が来たのでこの話はまたいつの日か。