今週のモーニング

先週から始まった山田芳裕の「へうげもの」がかなり俺好みで嬉しい。ピアノ、蒼天、大使閣下、ナースあおい辺りも面白く、かなり充実だった、個人的に。ドラゴン桜はるか17がそれぞれドラマ中ってことで主なプッシュはそっちだろうけど、そこからモーニングを手に取った人が他のマンガも読んで、興味持ってくれたらいいのにな。特にナースあおいとか、地味めだけどマンガとしてしっかり読ませてくれる作品が、少なくとも打ち切りにならない程度に人気が出てくれればいいのにといつも思う。

こういう地味な良作は、マンガ誌の細分化によって情報のフォローが回り切らなくなって、気づかれないまま埋もれることが増えている感じがする。自分自身、マンガ誌主要どころの半分すらフォローできてないしなあ。スピリッツでやってた三宅乱丈のペットにしても、ネットの一部で熱烈にプッシュされただけだったしなあ。最後打ち切り気味だったし。

それはさておき、今週発表していたMANGA OPENの編集部総評はかなり面白かった。応募260本中80本近くが文章で、大半は原作、原案としての応募だったという事実だけでかなり興味深いし、プロの小説家や映画の脚本家まで送ってきていたというのには驚いた。モーニングの新人賞はやっぱりある種のブランド力みたいなのがあるんだろうな。売れ筋とかに関係なく、斬新さや個性のある作品を重視する、みたいな。いや俺が思っているだけかもしれない。

で、それらの原作応募作品に対しての編集部のコメントがすごい興味深い。以下引用。

確かに、「漫画の原作」ではなく、純粋なストーリーとして見ればそれなりに楽しめる作品が多数ありました。ただ、あえて言うと応募者のみなさんにほぼ共通してひとつの誤解があったと思う。原作っていうのは「漫画家にストーリーを提供するためのもの」ではないんです。プロの漫画家で、オリジナルのストーリーをつくれない人ってのはまずいないんですよ。

原作をつけて漫画を描いてる漫画家さんたちは、みんなオリジナルでやれるのに、あえてその原作を選んでいる。漫画の原作にはそれだけの「価値」がないと成立しない。つまり、その原作者じゃないと絶対に書けないものが入ってないとだめなんだ。たとえば、その人独自の情報や経験とか。

変な話ですが、私たち編集者は当然ながら「作家」ではないですから、世界観にもプロットにもある意味感心はしますよね。でもそれを漫画家さんに持っていったときにどういう反応があるかというと「うん。じゃあこれで描いてみよう」とは言わないと思うんですよ。

別に原作者志望でもなんでもないただのいちマンガ読みだけど、「なるほど、そういうもんなんだー」と思った。それと同時に、まだモーニングのことを信頼してもよさそうだと思った。