海外でのブログ炎上サンプルおよびracismが身近な世界での議論について

人種差別?アフリカ人女性が『バイオハザード5』をブログで非難 → 炎上
http://www.gamespark.jp/modules/news/index.php?p=3227


まず前置きとしてGame*Sparkの上の記事を参照。『バイオハザード5』を黒人差別だと黒人女性(Kym Platt)がブログに書いて大炎上(Black Looks:Resident Evil 5)。上の記事では

「じゃあ弟から借りて遊んでみます……」とあっさり返事をして今は収まりつつあるようです。

と書いてあったものの……。


実際に彼女が次に取った行動は、彼女のもう一つのブログ(Ask This Black Woman)の方で、炎上したときに寄せられた中から一番ひどいコメントを抜粋して"被害者"としてのアピールを全面に出し、彼らは『バイオハザード5』を再演しようとしてるようだと言い、しかもコロンバイン高校銃乱射事件になぞらえるというもの。この記事を元のブログで彼女の友人のSokariが抜粋して記事を書いたからさあ大変。瞬く間に再炎上。炎上劇の黄金パターンは海の向こうの英語圏でもしっかり踏襲されていました。
http://www.blacklooks.org/2007/08/where_lies_the_resident_evil.html


なにぶんコメント量が200以上もあるので全部びっしりとは読んでいないが、KymおよびSokariに対する批判・非難としては、ゲームおよびその背景に対する無知、先の記事で寄せられたコメントのほとんどがまともな内容だったのにそれには答えず罵倒コメントだけをピックアップする態度(ほんと典型的だよねこういうの)、不適切なところでracismを持ち出す過剰反応な態度、コロンバインになぞらえたりゾンビは全部白人であるべきと言っていた逆差別発言について等々。あと、年齢レーティングがあるのに何で10歳の弟から借りるんだよ、親は何やってんだなんてツッコミまであって笑った。


そして、やっぱり英語圏のブログだけあって、非難する側の人種も、同じ黒人がいたり、アフリカンアメリカン系プエルトリコ人がいたり、『バイオハザード4』で舞台となったスペイン人などのヒスパニック系がいたり、東アジア系人種がいたりと様々。そして彼らはいわゆるPC、ポリティカリーコレクトを理解したその上でしっかりとKymとSokariのことを批判していた。英語圏の議論のいいところはこういう多様な人々がいるところだよね。いや、本当は日本人だって多様なはずなんだけど。


まあ、一般化させて今回の炎上を見ると、やってることは日本語圏ブログでのそれと変わらないなーというところ。第二の炎上の仕方があまりに典型的すぎる。しかも過度に被害者アピールするために無関係な銃乱射事件を持ち出しちゃったりね。


ただ、日本語圏と大きく違うなと感じたのは、いわゆる「弱者カード」を振りかざされても、それが誤った使い方であれば遠慮無く批判は行われるその力強さ。炎上現場だからこそそういう遠慮が無い人ばかりが揃ったという捉え方もできるかもしれないけれど、この記事を取り上げている痛いニュースのコメント欄でわかったようなふりをして現場の反応も見ずに安全な弱者サイドにすり寄って知的ぶった優越感を振りかざす部外者の多さと見比べると、やっぱ日本って差別問題に関して未熟というか、「弱者」を腫れ物扱いして表面的には過保護に振る舞って、極力本音から逃げ回ろうとしすぎだよなあと思ってしまった。「差別問題は難しいから気を遣わないと」で思考停止する人が多い。そして隙あらば様々な「弱者カード」を求める人が後を絶たないわけで。


あと、差別問題だけでなく、年齢レーティングの存在を重要視して「これは子供のためのゲームではないから問題ない」ときっぱり言い放っていたりするのを見て、子供は判断力が未熟だが大人はしっかりと判断できるというコンセンサスがきっちりと植え付けられているんだなあと、個人の本当の意味での責任に対する認識の違いを感じた。批判的言動そのものを悪徳のように扱って、批判一つ受け付けさせない脆弱極まりない「自由」をいい大人が掲げる姿をごく最近にもはてなダイアリーのどこかで見かけただけに余計に。


とりあえず結論としては、炎上の流れは海の向こうでも大差ないってところと、racismの問題が身近なものとして認識されている世界ではracismカードの濫用による逆差別に対しても容赦ないんだなあといったところなのかな。